こんにちは
今回の書評は岩波新書から「経済学入門の入門」を紹介します。
本書は経済学を学ぶ人にはもちろん、数学が苦手な理系の人におすすめです!
経済学も深く学んで行くためには数学が必須で、理系よりも数学を駆使する場面もあると思います。
著者である、田中久稔先生は早稲田大学に所属している方のようです。
本書の目次
本書の内容を目次ごとに簡単に紹介します。
第1章 経済学と数学-なぜ数学を学ぶのか
経済学はデータを用いて実証研究を行う必要があるため、客観的に記述する必要があります。
その客観的に議論するために用いられるのが関数です。
経済学部でも経済数学が必修となっており、経済学を学ぶ上で必須になります。
第2章 一次関数-市場を数式で表現する
経済学では、価格を縦軸、数量を横軸にします。
通常は、アウトプット(y)を縦軸で、インプット(x)を横軸に書くのですが、経済学は譲らないようです。
第3章 二次関数-満腹と疲労
第4章 関数の微分-「この瞬間の、この感じ」
限界便益曲線が示しているのは、需要曲線そのもので、限界便益をグラフに書けば、それがそのまま需要曲線に化けます。
第5章 関数の最大化⁻山の頂で考える
目的関数が二次関数ではない状況や、あるいはまったく特定化されない一般の関数のままであるときは、二階の条件を確認するのは非常に重要です。
第6章 多変数関数の最適化⁻ケーキとコーヒーの黄金比
効用関数には予約制約を糊付けしたものをラグランジュ関数といいます。
第7章 マクロ経済学と差分方程式-富める国、貧しい国
これまでの需要関数では、予算が無限でしたが、実際には自分が帰るモノには予算の制約があります。それを導入したのでがマーシャル型需要関数です。
マーシャル型需要関数では、所得の影響を考えることができるようになります。
第8章 動的計画法-失業者は関数方程式を解く
経済成長が鈍化して定常に近くなっていくのは、効果の高い投資先がほとんどなくなっていっていることを表しています。どんな政策でも、取り組み始めは効果的ですが、課題を完全にクリアすることは難しいです。
読書案内/おわりに
本書を読み終えた後に読むべき本が紹介されています。
それらに加え、私の私見も踏まえて記事にまとめました。
関数とは
経済学で数学を用いると、複雑な状況を明確に説明できます。
本書で例として示されているのは、教育経済学における分野の「子どもの学業成績を決定する原因は何か」というテーマです。
関数は y=f(x1,x2) の様に表されます。
ここで、授業では説明変数がx1とx2で、被説明変数がyですが、わかりにくいので先ほどの問いに置き換えます。
「学業成績」「勉強時間」「IQ」がデータとして与えられているとすると、
y(学業成績)=f(勉強時間,IQ)
と書くことが出来ます。
読み替えると、「学業成績は勉強時間とIQによって決まる」となります。
(逆にそれ以外の要因は学業成績に一切関係ないと同義です)
おそらく親の収入や学校などここに書かれていない様々な要因が関わっていることは想像できるので、完全に鵜呑みには出来ませんが社会の出来事をシンプルに説明できることは非常に重要です。
更に受けて側としても何よりわかりやすく頭に残りやすいです
偏微分の意味、わかりますか?
偏微分は偏微分は多変数関数に対して一つの変数に関する微分であると
wikipediaに記載されています(一部略)
先ほどの関数に比べてもわかりにくいですが、これも本書では非常にわかりやすく説明されています。
本書ではコーヒーとケーキを例に説明されています。
1個のケーキと1杯のコーヒーを消費したところだとします。この状態でコーヒーの量はそのままで、ケーキを限界量だけ増やした時の効用の増加率を「ケーキの限界効用」といいます。
これが偏微分です。効用とは満足度だと思ってください。
微分は「関数の勢い」を表すとよく言われますが、ケーキ1:コーヒ―1の時と、ケーキ5:コーヒー1の時でそれぞれケーキを増やすと考えると、どちらが増加するケーキに満足するかは想像できると思います。
そのため、関数の勢いは各点で変化します
数学が苦手な理系の人へ
関数と偏微分の部分だけ紹介しましたが、どちらも私にとっては「そういうことか!」と納得してしまう内容でした。
経済学を学ぶには例がシンプル過ぎると感じましたが、経済学で使うであろう数学をざっくり理解するには非常に適しています。
数学をざっくり理解することに関しては理系にも非常におすすめしたいです。
理系の分野にはなかなか直感的な理解が出来る例が少ないため、こういった内容は貴重かなと思いました。
以上です!