こんにちは
今回は「株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす」を紹介します。
本書の著者であるウォーレン・バフェットは米国の投資家で、アメリカで3番目の富豪と呼ばれており、個人投資家に向けた投資戦略を数多くの書で発信しています。
本書はその中でも最も有名なもので、成長にとらわれない投資方法を提唱しています。
日本では積み立てNiSAなど個人の投資を促進する施策が増えてきており、市場に流れる資金も増加傾向にあります。
これから投資を始めようと思う人、既に投資を行っている人、全てに読んでもらいたい本です。
Contents
本書の目次と概要
第1部 「成長の罠」を暴く
第1章 成長の罠
第2章 創造的破壊か、想像の破壊か?
第3章 時に裏打ちされた価値-黄金銘柄を探して
第4章 成長すなわちリターンにあらず
第2部 過大評価される成長株
第5章 バブルの罠-市場の多幸症をどう止め、どう避けるか
第6章 新興の中の新興に投資する-新規公開株(IPO)
第7章 資本を食う豚-テクノロジー:生産性の源泉にして価値の破壊者
第8章 生産性と収益-負け組業界の勝ち組経営陣
第3部 株主価値の源泉
第9章 金を見せろ‐配当とリターンの企業統治
第10章 配当再投資‐下落相場のプロテクター、上昇相場のアクセル
第11章 利益‐株主リターンの源泉
第4部 高齢化をめぐる危機と世界経済の力学シフト
第12章 過去は未来のプロローグか?-株主の過去と未来
第13章 変えられない未来‐目前に迫る高齢化の波
第14章 高齢化の波を乗り越える‐役立つ政策、役立たない政策
第15章 世界的解決‐真のニューエコノミー
第16章 世界市場と国際ポートフォリオ
第5部 ポートフォリオ戦略
第17章 未来に向けた戦略 D-I-V指針
「成長」して得するのは個人投資家ではない
私は投資した企業や国が成長して利益を上げてくれれば自分も儲かると思っていました。
まず、成長によって初めに得をするのは個人投資家ではありません。
当然、開発者や創業者、その企業の成長性を見出した企業投資家です。
消費者も最終的に便利になって恩恵を受けますが、個人投資家は基本的に後追いで、遅れてマーケットに入ることになります。
既に高値が付いた株を買い、そこから更に成長を期待することは非常に難しいです。
でも投資をして私たちが利益を得るには企業や国が成長するだけでは不十分です。
その「成長するであろう」という期待を超える成長をしなければなりません。その時点で、期待値の高い企業はリターンを得るハードルが高いんです。
ここまでのまとめ
- 初めに利益を得るのは、開発者や創業者、企業投資家
- 企業の成長性で投資の判断をしてはいけない
有望な投資先の条件は?
成長真っただ中の企業に投資をするのはあまり得策でないことはわかりました。
でも、成長している企業がダメならどんな企業に投資すればいいのでしょうか。
私たちが投資をしている時点で、その期待値は株価に織り込まれています。
株式の長期的なリターンは増益率そのものではなく、実際の増益率と投資家の期待との格差で決まる。
投資先を評価するにはバリュエーション(株価評価)を示す指標をみる必要があります。
そのバリュエーションを評価する指標として最も有名なのがPER(株価収益率)です。PERは簡単に言えば、投資家の期待値です。
※PER=株価/1株当たりの利益(株価6000円で1株当たり利益が30円の時PERは20倍となります。) PERの詳しい説明については別記事で詳しく説明します。
私たち投資家は、成長企業に対しては楽観的すぎて、低成長企業に対しては悲観すぎるようです。
本書ではS&P500のPER別のリターンを求めており、PERが高いグループは、PERが低いグループに比べてリターンが低いことがわかっています。
そしてもう一つが配当利回りです。
配当は企業の信頼の証になります。
配当を行うには、ある程度の余裕資金と確かな経営基盤が必要になります。更に、長期投資では配当を同じ株を買うために再投資するのが一般的です。
その為、配当利回りが高い企業と低い企業を比較すると長期間で見ると保有株数が大きく変わります。
更に、保有株が多ければ多いほど、株価の上昇による利益は増加します。
1株1000円が5円値上がりしたとします
保有株が100株だと500円の増加で
保有株が200株だと1000円の増加になります
また、配当の再投資を行うことで株価の値下がりに対するダメージを軽減できます。
株価が下がれば一回の配当で買える株の数が増えていくので、買い付け額の平均を下げ、短期間で株数を増やすことが出来ます。
その後株価が回復すれば、先ほどの例の様に株数が多ければ多いほど、リターンの額は大きくなっていきます。
この方法はドルコスト平均法と呼ばれる投資スタイルに似ていますね。
ドルコスト平均法では再投資ではなく、単純に買い増しをしていきます。
配当再投資とドルコスト平均法のの効果が同じになるためには、その投資先の企業が生き残ること(もっと言えば配当も下げない)が条件になります。
そうでなければ、買い増しをしていくドルコスト平均法ではリスクが大きくなります。
なので、長期的に生き残る企業に投資を行うのであれば、配当再投資とドルコスト平均法の組み合わせは非常に強力になります。
ここまでのまとめ
- 投資先を決めるためにはバリュエーションを見る必要がある
- その1つがPER(高すぎてはいけない)
- もう1つが配当利回り(再投資することで保有株数を増やすことが出来る)
- 配当再投資を行うことで株価の値下がりのダメージを抑えることができる
- 長期的に生き残る企業に対しては配当再投資とドルコスト平均法の組み合わせが強力
海外に積極的に投資しよう
近年はグローバル化も進み、時価総額の大きい企業は基本的に多国籍企業となっています。なので、リターンを求めるのであれば、海外への投資は必須です。
例えば日本企業の「味の素」の商品はインドネシアのスーパーに平然と並んでいます。ボーイングは多くの中国人を運ぶことで大きな利益を得ています。
コカ・コーラも、日本をはじめとする世界各国で販売されていますよね。
国や地域別の時価総額のシェアを調べたものが本書に乗っていたため、引用させてもらいました。
日本人だけでなく、アメリカ人でもそうらしいのですが、自国の株式にばかり投資する傾向があるようです。
アメリカであれば、世界の半分に投資できていることになりますが、日本株のみに投資をすると世界の9%程度しか投資できていないことになります。
これでは、世界経済の成長の恩恵を受けられないどころか、日本の超高齢化の影響を受けてリターンは低迷してしまうことが考えられます。
世界経済全体の成長を受けるためには、この時価総額の割合に即した投資を行うことがオススメと本書では語られています。
つまり、日本人であれば、国内への投資は10%に満たない程度でよいよいうことです。現在、世界市場は密接に関わり合っているため、為替相場の様に、どちらかが上がれば片方は下がるというケースは、少なくなっており、2003年では世界経済の相関係数は0.75まで上昇しています。
ここまでのまとめ
- 市場への影響力の強い時価総額の大きい企業は多国籍企業
- 世界的にみれば経済は依然成長している
- 世界に分散投資することで世界経済の成長の恩恵を得ることが出来る
まとめ
個人投資家にとって重要なのはリターンだということを思い出してもらえたでしょうか?
私自身が、成長企業への投資が最良だと思っていたので、この本との出会いは本当に投資に対する考えを大きく変えることになりました。
ここで紹介した内容はほんの一部なので、興味を持ってもらえた人は是非手に取ってみてください。